海のサンゴと日焼け止め

海のサンゴと日焼け止め

 今年2024年は10年に一度と言われる熱い夏、日傘と共に日焼け止めは欠かすことができません。当店店主の私はスキューバダイビングを趣味にしているので、海の日差しと日焼けについては、毎年悩ましいところです。

 ところで私たちが使っているその日焼け止めによって、海の珊瑚が脅かされているのをご存じでしょうか?

 そもそも珊瑚とは何なのか?日焼け止めがどう影響しているのか?今回はそれらを簡単にまとめてみました。

 

  1. 珊瑚とは何か?
  2. 日焼止めの何が悪いの?
  3. 世界の規制
  4. まとめ

 

1,珊瑚とは何か?

 明るい海で色とりどりの魚が舞う珊瑚礁、その珊瑚とは何かご存じでしょうか?植物?貝の一種??岩の変形??

正解は動物

イソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物に分類されている、れっきとした生き物なのです。

 枝や固形の花のように見えるものもありますが、実は触手や口があり、その触手でプランクトンを捕まえて栄養としたりするなど、食事をして生きています。

写真:珊瑚の触手(トゲトサカのポリプ)

 

 

そしてこちらは、

ダイバーにはお馴染みの珊瑚の産卵シーンです。

珊瑚の産卵は年に一度、5~6月の大潮の満潮の前後に行われます。珊瑚たちが一気に卵を水中に放出するシーン、神秘的で生命の強さを感じます。群れで暮らす魚の産卵のシーンにも似ていますね。

 

 

2,日焼け止めの何が悪いの?

 普段何気なく使っている日焼け止め、問題はその中に含まれる紫外線吸収剤です。オキシベンゾン(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン)やオクチノキサート(メトキシケイヒ酸オクチル)などの化学物質が、珊瑚に悪影響を与えているそうです。

 2018年の調査では、これらの紫外線吸収剤が海水浴やシャワーの排水などから海水に流れ込むと、珊瑚の白化※1や海洋生物の生態系に悪影響を及ぼすことが指摘されており、ハワイでは珊瑚に有害な成分としてこれらの紫外線吸収剤の入ったものは法律で使用禁止されています。

 また環境ホルモンによる作用も問題視されており、2016年の研究によると男性の不妊症との関連性が確認されるなど、女性だけでなく男性にも当事者として問題意識が必要であると言えます。

 

 

 3,世界の規制

 上記のように、ハワイ州では紫外線吸収剤の入った日焼け止めの使用は2021年に法律で規制されるようになり(オキシベンゾンとオクチノキサートが含まれる日焼け止めの販売や流通が禁止)、パラオではそれより前の2018年に、オキシベンゾンとオクチノキサートに加え、オクトクリレン、エンザカメン、トリクロサン、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、ベンジルパラベン、フェノキシエタノールの10種類の化学物質を含む日焼け止めやスキンケア製品の販売、使用を禁止する法律ができ、2020年以降違反者には罰金が科せられています。

 このようにほんの数年前からではありますが、各地で本格的な規制が始まり、この流れは全世界に広がっているといえます。もちろん日本でも問題意識は高まっており、各社こぞって製品開発を進めている段階であるといえるのではないでしょうか。

 

 

 

4,まとめ

 日焼け止めが珊瑚をはじめ環境に及ぼす影響は近年問題視されています。ただ、何事もそうですが、過度に拒絶反応をするのではなく、他人が何を使っているからどうかではなく、

まず自分として何を選ぶか、どういう姿勢で臨むか、

その意識をしっかり持って製品選びをしていくことが大切だと思います。

 

珊瑚の海を守るためにできること

・紫外線吸収剤、化学物質の入った製品を選ばない

・天然成分、オーガニックな製品を選ぶ

・疑問を持ったら調べてみる

 

 2017年4月より発売されているこちらは、当店のおすすめ

※当店でのお取り扱いは終了しました。

 

 エシカルに暮らすということは、量産型のスタイルや消費傾向に思考停止せず、どういう姿勢で社会に貢献するかを自分自身で考えながら行動することだと思います。

 自分の価値観を押し付けるのではなく、他人の心地よさの基準も理解しながら、自然のサイクルをイメージしつつゆったりと生活していければいいなと思います。

 

***

※1珊瑚の白化 要因は化学物質だけでなく、海水温の上昇による影響も大きいと言われています。特に台風が少ない年は、海水がかき混ぜられらいことから水温が下がらず、その影響が懸念されています。

記事参照1

記事参照2

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